河童の伝説
先週友人と田主丸吉井を散歩しました。スケッチを兼ねていたのですが、麦酒を飲んでいるうちに、あァめんどくさいということになりました。食堂に浮羽郡郷土会誌「宇枳波第十号」が置いてありました。
「宇枳波」は、昭和十五年に浮羽女子高等学校の国語科の先生が、生徒たちに調べさせ、その作文を元に郷土伝説集を編纂されたものです。わたくしの本は、公民館で分けてもらったもので、昭和六十三年の復刻です。
昭和十五年現在の女学生ですと、八十歳は超えておられることでしょう。読むと、そのころの文章には幾分文語もどきが混じっていたり、講談調の形容が有ったり、微笑ましく思えました。いまのブログの文章もいずれ後の人たちの国語についての考察の種になることでしょう。
伝説を理詰めで研究なさる方とは違います。わたしたちのころまでは、母や叔母より語り聞かされていた類のお話です。
河童をはじめ狐・狸・天狗その他の妖怪や神社・祠・池堤などに畏敬の念を懐いていました。そして神仏を敬い、地域の和合を諮っていたのでは、と思います。
文集に現れる河童は四、五歳の幼児の体つきです。大人になっても幼児体験による河童への怖さと親しみがもとにあるからでしょうか。