2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

古本もまた可なり

市の図書館は時々おそらくは貸し出し量の基準にそぐわない、つまり利用客が少ない書籍雑誌を放出する。なかにはあまり借り手のない本であってもうるさい方面があるのでいたずらに書棚に面を並べられたままの書籍もある。 そこで「神なき国のガリバー」田中康…

人を沢山雇ってくれる企業

私は経済学というものに信を措かない。昭和二四、五年ごろはやっと敗戦後の脱落感からいくらか気息を取り戻した感はあった。しかし就職難であって聞くところおとなしい思想の持ち主にのみパイが回されたようだった。そのころの時節には過激思想に加担した考…

蚯蚓神社

日照り続きの舗装道路で蚯蚓の死骸を見ることがある。不思議でならないのは雨上がりならいざ知らず蚯蚓にとって悪条件の環境になぜ現れたのだろう。土中にいれば安穏できそうなものに、である。 蚯蚓は世界に三千から一万三千種(学者によって説が違うそうだ…

金魚ェ金魚

「江戸売り声百景」の著者は殆ど同年宮田章司さんである。近頃往来で大声を発するのは、竿竹売りと廃品回収車だ。 私は北九州の小倉に住んでいた。著者同様売り声に郷愁を感じる。ただ地域性から故その種類は少ない。 天秤棒を担いだり、風鈴やガラス鉢など…

勤勉な蟻

まだ夏の暑さになれないせいか、なにかとなげやりな気分になる。 人間の蛋白質は四十二度前後で変性し始めるそうである。蟻はその点かなりの高温に耐えうる特殊な蛋白質で構成されている。それで陽射しの強い時間帯でも他の動物に邪魔されずに食餌を採りえる…

夏 雲

梅雨が開けたので威勢のいい夏雲が現れた。 江戸時代の俳人越谷吾山が編んだ「物類称古(東條操著)」によると、夏雲について地方によって呼び名が異なっていたようである。 江戸では板東太郎、大阪は丹波太郎、播磨で岩ぐも、九州では比古太郎である。これら…

食物連鎖

やはり蟻族の侵入が続いている。どうやら私に原因があるようだ。フケ性であるか、老化のせいか皮膚の欠落が甚だしい。特に頭髪が疎らになり、閑があれば、頭をかくのでPCのキーボードにも夥しく落下する。 家の者が侵入した蟻がフケを運んでいるのを見た、と…

亀の甲より齢の効

先年の大雨で近くの御笠川の鯉や亀などが下流に押し流され、しばらくして放流されていた鯉たちは姿を見せたが、亀はなかなか現れなかった。やっと先週甲羅を干している一匹を見た。 カメのきた道(著者平山 廉)で、カメの甲羅は、体の内部にある背骨や肋骨…