ちゃっきり金太

正月になると、上記の映画(NHK再放送)をボンヤリ見ております。この映画は昭和十二年東宝PCL製作です。わたしは昭和六年生まれですから、六歳のころとなります。映画館で見たのは、既に大東亜戦争が始まっていました。
原作・脚本・監督山本嘉次郎・主演エノケン中村是好他です。小学六年卒業後の春休みです。
その後NHKの衛星放送で録画したのを幾度となく観ております。差し障り無く録画はしておりますが、果たして小学生のころ観たのと同じであるかは、疑問です。当然ながら、映像の続き具合いは違っていると思います。
山本監督は、鹿児島産とかで、薩摩ッポ弁を処々にさりげなく使ってあります。意外とこれが皮肉であるように思えました。
お江戸は中村座、満座のなかで、田舎侍たちが乱暴します。江戸っ子の掏摸の金太、抵抗にならない抵抗をします。その後幾多波乱があって、官軍の江戸総攻撃が始まり、錦の御旗を押し立てて官軍が粛々してやってきます。掏摸と岡引は政商グラバーさんの財布を充分に膨らました南北戦争のお下がりの軍服や鉄砲を担いで、堂々お江戸に押しかけます。
そして維新です。鹿鳴館くずれ風体の紳士淑女の掏摸は、相変わらず、岡引巡邏に追いかけられる始末です。