王子の狐

平戸のお殿様のスクラップ・ブック「甲子夜話」には様々なお話が集められています。
落語に「王子の狐」があります。全く同じ話の筋です。
少々人間を舐めた狐がかえって誑かされたのです。娼妓に化けた狐が手のうちを読まれた男に、王子の料理屋に連れて行かれ、飲み食いされた上、厠に立つと見せかけられて、置き去りにされます。
店の者にやいのと強く勘定を請求され、万端窮した狐は尻ッ尾を出し、危うくぶちのめされそうになります。「もしや王子の神であるまいか」との店主の思惑から、どうやら狐は難を免れるのです。
お殿様の鷹揚さで、この話を世間話と思われたのでしょうか?