じっと掌をみる

暖かな日が続くとカナヘビが徘徊する。前後の脚には指先が五本ある。人間同様五本指の同類は多い。進化についての疑問符は宗教心に専念する人に限らず、閑を持て余した人でも思いつく。
男性の体躯に乳頭の痕跡があるのをしばらく熟視しすると、もともと男女は同体であったのではなかろうかと、妙な困惑が生じる。するとアダムとイブのお話へと転落する。
旧石器時代人の歴史 竹岡俊樹著」を読むつもりで、借りては来たが、到底歯が立たずに僅かな頁で投げ出した。ただ頭を捻らせる材料が豊富にあった。
なにしろ少なく見積もっても二百五十万年遡る事柄だから、想像力半端では追いつかない。しかし脆弱な現代人の思考はなまなかなの想像を許さない。人間の形態が二百五十万年以来の自然に適合して形成されていることはカナヘビ五本の指と同様であろう。
そんなところでまずは思考力が停止する。