今村天主堂

三井郡大刀洗町に今村天主堂がある。
天主堂は、殉教者ジョアン又右衛門の墓跡に、大正三年、五島出身の鉄川与助が完成したものである。かれ三四歳の作である。
この地今村(字今)当時五百人の隠れキリシタンがいた(邪宗門一件口書帳)。現在およそ二百世帯千人程の信者がいるという(近所の信者さんの話による)。とすれば、信仰の自由を得てもさほど信者数が増えたようにないが、大正期に神父さんの勧めによりブラジルに移民された信者があったそうだ。それを加えねば実態に合うまい。
西鉄甘木線本郷駅近くにも信者の便宜のため小さな教会がある。ジョアン又右衛門は南本郷の流川(ながれこ)という場所で礫刑になった。現在そこは「ハタモン場」と呼ばれ、十字架が建てられている(キリシタン風土記等による)。
鉄川与助さんは五島にも教会を建造されている。かれの宗旨は日蓮宗だそうだが、技術を指導された神父さんはあえて改宗を勧められなかったそうである。