穏やかな意見

江戸の昔が良かったという迷信がある。むかしがよかったという迷信もある。迷信は迷信としてよかろう。落着いてその時代の書物を読んでみよう。
吉川弘文館に日本随筆大成という叢書がある。また地方図書館にも備えがある「日本庶民生活史資料大系(三一書房)」を読まれてみるがよかろう。
時代は明治大正昭和と代わるが、勝てば官軍の史観はいまだに残存しているのはどうかと思う。
内部告発という昔の穏やかな価値判断に反する行為が咎められないのは、倫理観に基づいたものではなく、計算づくであったと推察できる。企業には隠匿して置きたい多くの事実がある。そして企業には縛っておける綱がある。それは退職者子弟の就職という切なる弱みを握っている。
一般公募とはいいながら採用基準は退職従業員の子弟に重きを措かれるのは、いわゆる退職者の口封じの種ではないだろうか。
江戸時代の忍従踏襲は今日まで続いていると思うのは僻目であろうか。