7年前のキリギリス

先月の話(7.20)だが、近くの川沿いに朝夕かなりの人通りの遊歩道がある。橋の傍に白いパイプのガードがあるが、見ると一匹のキリギリスがとまっていた。顔を近づけても逃げない。キリギリスはパイプの上を歩き始めた。時々前後左右の脚先を舐め、そして前進する。その仕種はひとが掌に唾するのに似ており、思いなしか目玉の動きは傍観者私に対して意味ありげ見えのである。
 およそ10メートルはあるガードパイプの先端に届くと一服するかのように休み、折り返してまた歩き始め、最初にいたところへ戻る。傍を通る人は少なくなかったが関心がない。結局三往復までこの挙動不審のキリギリスを眺めたのは私だけだった。一体この小動物キリギリスの行動の所以はなんであろうか。
これは2004年7月30日「はてな」に書いた文章である。ブログの便利さと効用はこの点にあると私は思う。乱雑で、整理整頓ができない男のメモ同然の文章が残っている。
なんども止そうと思いながらも続けたのはこのためでもある。