甲賀三郎

江戸川乱歩などと並んで甲賀三郎という探偵小説家がいた。もう小説の筋など覚えてはいない。ただ子供のころから探偵作家とばかり思っていた。勿論それも間違いない。
ところが「説話民謡考(鈴木棠三著)によつて、長野県諏訪湖畔に祀られる諏訪明神の縁起を説く本地物の主人公であることを知った。かれは兄次郎の姦計により十数年間地底の国々を巡らされ、信濃浅間岳に出て帰郷したが、蛇と化していた身を老僧によって人身に戻された。兄次郎は三郎の妻に横恋慕していたのである。
唐津市浜玉町諏訪神社には蝮除けの護符がある。半世紀以上の時がたっているので、正確な記憶とは言い難いが、「お諏訪さんの砂」がそれだったと思う。何事もなく往来してくれれば別段気持ちを騒がせることはないのだが、悪いがお主には妙な雰囲気がある。