吠える犬

近所によく吠える犬がいた。老犬シベリアンハスキーだった。犬には悪意がなくても吠えられるのは気持ちがよくない。気の小さい奴と犬は思っているかも知れない。お互いに齢をくっている。勘弁してヨと頭を下げて通っていた。
いつのころからか二匹の小型犬に変わった。老犬は姿を見せなくなった。
家の前のビヨウビヨウ犬という言葉がある。この「ビヨウビヨウ」が判らなかった。ここらでは、虚勢を張った内弁慶の意をいう。ただビヨウビヨウが不明のままであった。
「狂言じゃ、狂言じゃ」の茂山千之丞著書によると、狂言では犬は「ビヨーウビヨーウ」と鳴くのだそうです。狐は「クワーイ」鶏は「コｰｺｰコー、コキャー」梟ハ「ポーポーイ、ポーポーイ」、室町時代の人々にはそう聞こえたのたのでしょうと著者は述べている。
では犬が「ワンワン」猫「ニャーニャー」狐「コンコン」鶏「コケコッツコー」はいつのころから聞きなしたのだろうか。